「すべてのめぐみを心にとめよ。」(詩編 103 篇 2 節)
「数えてみよ、主の恵み。 汝が心は安きを得ん。 数えよ、一つずつ」
(讃美歌 「望みも消えゆくまでに」)


新年度に入り、あっという間に 2 ヵ月の時が経過しました。引き続き様々なかたちで
ご協力をいただいておりますことを、まずは心より感謝申し上げます。
門の前に立ちながら、子どもたちの姿からたくさんのことを教えられています。
毎朝のお別れがさみしくて、しくしくと泣いていた一人のお子さんのことを、これまで
少し心配しながら見つめていました。けれども、5 月の下旬に入ると、その子はおうちの方
と手をつなぎながら、にっこりと微笑んで手を振ってくれるようになりました。
「幼稚園での生活の中で、毎日の <楽しみ> を見つけることができたようです。
今日はみんなでお散歩、明日はみんなでじゃがいも掘り。毎日、楽しみにしている時間が
少しずつ増えているようで、うれしいです。」
帰り際に、おうちの方が語ってくださったお言葉がとても心に残っています。
そのお言葉を聴いて思い起こしたのが、冒頭に掲げた「二つの言葉」です。
「めぐみを心にとめよ」/「数えてみよ、主の恵み」
聖書や讃美歌の歌詞の中に込められた大切な言葉です。英語では「Count your blessings」。
渡辺和子さんという有名なカトリックのシスターは、これを「あなたが受けた祝福の数を
数えなさい」と訳しています。
ともすれば人は、〝不足・欠け〟の数を数え、自分が持っていないもの/失ってしまっ
たものを数え、失望の渦に飲み込まれてしまいます。(わたしもそうです)
けれどもこの言葉は、「すでに、自分に与えられている恵み・祝福の数を数えようではな
いか」、と語りかけているのです。この言葉を知って以来、渡辺和子さんは、一日の終りに、
少なくとも「3 つの感謝すべきこと」を思い起こすようになったと語っています。
「今日は幼稚園でどんなことがあった?」と、お子さんに問いかけてみてください。うれ
しいことも、ちょっぴり悲しかったことも… お子さんが日々、幼稚園で発見し、経験して
いる出来事の中には、きっとたくさんの「祝福」が宿っていることでしょう。その一つ一つ
が、一人ひとりの子どもたちの人生の「支え・根っこ」になることを心から願っています。